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マスコミよ奮起して下さい

20021230

宇佐美 保

 田中康夫長野県知事は、朝日ニュースター番組中で、米国人建築家ウィリアム・メレル・ボーリズが設計し、名建築で知られる滋賀県豊郷町の町立豊郷小学校の解体工事をめぐる問題を、次のように解説して、マスコミを非難していました。

豊郷小問題」をマスコミは、悪役の大野町長が、住民の意向を無視して、歴史的建造物を壊し、新築を強行している(その裏に利権も見え隠れしている)理不尽さだけを報道しているが、この問題の根本には、税制の問題が絡んでいるのである。

即ち、現校舎を耐震建造物の改築するには6億円の出費、これに対して、新築するには20億円掛かる。

これだけなら、何も歴史的建造物を壊して新築するよりも改造する方が住民の為、町の為にもなる筈で、町長の振る舞いは暴挙であって利権がらみを連想する。

ところが、文部科学省からの新校舎建設に対して多額の国庫補助の支給されるが、現校舎の改修に対しての補助金は殆んど支給されない為、莫大な費用を要する再建の方が、改築よりもズット地方財政には負担が少なくなる点が問題なのである。

(詳しい数字は忘れましたが、補助金の率は、新築が85%、改築が40%と発言されていたと存じます。

となりますと、豊郷町の出費は、新築では20×0.153億円、改築では6×0.63.6億円 で新築の方が町の負担が少なくて済むという可笑しな現象が出てくるのです)

このようにして、国民の税金は無駄使いされている事態を何故マスコミは報道しないのか!

と知事は語り、同席された管代表、小沢党首に税制の改革を訴えておられました。

(三重県知事の北川氏もこの番組を見ていたのか、翌日のサンデープロジェクトで、田原氏は、「コマーシャル放映中に、北川知事から驚くべき話を伺った、豊郷小問題の裏には補助金税制の問題点が隠されているそうです」と語っていました。残念なことに田原氏もこの問題に対して勉強不足だったようで、その時の彼の解説では視聴者へのアッピール度は少なかったと思います)

 

 なのに、テレビ朝日の川村氏は別の番組で、「国からの補助金事業をドンドン削ってしまうのは、地方財政にとっては問題だ」と田中知事の県政を非難していたのには呆れてしまいました。

 

 そして、身近(?)な例では、長嶋前監督と、原新監督のマスコミ報道です。

マスコミは、長嶋氏を「ミスター」等と呼んで崇め奉っています。

(でも私は、長嶋氏が嫌いです。)

常々、長島氏は、背番号3を自らが高めた栄光の背番号かのような発言をします。

(ただ最近、巨人で彼の前に背番号3を使用していた千葉氏が亡くなられて、やっと千葉氏から受け継いだ旨を発言はしていますが)

でも、私にとっての背番号3は、戦後の混乱の中、赤バットの川上選手と共に、私達に夢を与えてくれた青バットの大下弘選手です。

更には、世界的には栄光の背番号3はなんといってもベーブ・ルースです。

なのに、長嶋氏は、ぬけぬけと、大下選手やベーブルースの存在を無視しています。

勿論、彼の嫌な点はこんなものではありませんが、ここでは省略します。

なのに、マスコミは長嶋氏を崇め奉ります。

 

 そして、マスコミは、原氏を監督就任前まで(いや、シーズン開始して勝ち進むまで)は、「無能な原課長」扱いでした。

私も不覚にも、愚かにも、マスコミ報道を鵜呑みにして、原氏をバカにしていました。

(かくもマスコミ評判の悪かった原氏を監督に抜擢したのはどなたなのでしょうか?

素晴らしい慧眼に敬意を表します。)

 

 原氏は監督就任によって「大化け」したのでしょうか?

どうも違うようです。

BSフジのテリー伊藤氏のロングインタビューに出演したベーブ大久保元捕手は、「西武で冷たく扱われて巨人に移ってからの第一打席は凡退し、ベンチに引き上げてきたら、スター選手の原さんが大声で、“良かったぞ!もう一寸タイミングが合っていれば、ホームランだったもんなー”と言って迎えてくれ、そのベンチの明るさに感激した」と語り、その後も色々原選手が親身になって世話してくれた旨を語っていました。

 

 原選手の他の選手への心配りは、ベーブ大久保選手だけでなかった筈です。

なのに、そのような話のひとかけらもマスコミは報道してくれませんでした。

(マスコミは、日本語だかなんだか判らない長嶋語録ばかり報道し続けました)

 

 そして、特に日本シリーズ制覇後の原監督に対する報道内容は昨年までとは一変しました。

そして、その報道された桑田投手、清水選手、清原選手、更には、チームの裏方の方々への心温かい配慮を思い浮かべると、今キーボードを打っていても目頭が熱くなってきて、文章を続けるのが辛くなります。

 

 そこで、大リーガーのイチロー選手の話に切り替えます。

イチロー選手のNHKテレビで放映されるインタビュー番組には毎回衝撃を受けます。

先日の放映にも驚かされました。

「大投手と対峙する際は、敢えて彼らが最高武器としている球種を狙う」と語っていました。

その理由を2つ挙げていました。

第一は、「クレメンスのような150`を超える直球を投げる上に、急激な変化をするスプリット・ボールを最大の武器とする投手には、直球を待っていてスプリット・ボールが来たら絶対空振りする。しかし、最大の武器のスプリット・ボールを待っている時に直球が来てもそれが150`以上の剛速球でも何とかファールに出来る」と語り、そして、このシーズン中に、クレメンスと対戦して何球も直球をファールし続けた後に、スプリット・ボールをセンター前に打ち返しているのです。

第二は、「この最大の武器を打たれた最高級の投手に与えるインパクトは計り知れないものとなり、その後の対戦に自分が若干でも有利に立てます」と続けていました。

 

 更には、イチロー選手のシーズンの目標の一つは打率ではなくて、200本安打だと語っていました。

「打率を目標にすると、どうしても打率を下げてはいけないと言うプレッシャーが湧いてきて、バッタ・ボックスへ向かう気持ちまでが消極的になりがちだが、ヒットを一本でも多く打とうと思うと、投球へ立ち向かう気持ちまでもが積極的になり、結果的には打率も上がる」と語っていました。

 

 こういう解説は、マスコミからも、野球評論家からも聞かされた事はありませんでした。

 

 なのに、マスコミは偉そうな記事を書きます。

特に酷いのは、W杯での日本チームのトルコ戦での敗戦後のトルシエ監督非難です。

先週あたりのTBSのnews23においても、筑紫氏は、「トルコ戦の敗戦はトルシエの作戦ミスであり、予選リーグの勝利は、トルシエの持論の3バックを自主的に卒業した選手達の成果だ」と偉そうに語り、トルシエに対する感謝は一言も述べませんでした。

可笑しくはありませんか?

3バックを実行するには、選手同士互いの位置を常に確認する作業が必要です。

従って、3バックを常に心掛けていれば、単にボールに猪突猛進するのでなく、目をピッチ全体に向ける事に習慣付けられましょう。

その結果、3バックの変形の4バックへも容易に変更も可能です。

このような、トルシエ監督による訓練によって選手が飛躍的に進歩した事実をマスコミは何故取り上げないのですか?

 そして、3バックを最後まで貫いていても勝ち抜いていたかもしれません。

そして、3バックの結果、当然攻撃陣が厚くなってトルコ戦にも得点出来勝利を収めていたかもしれません。

 

 マスコミは、トルコ戦のトルシエ監督の選手起用を非難して、従来のメンバーで闘っていたら勝ったかもしれない論調しますが、逆にこの3バックを続けていたらの若しを論調された人は居ません。

可笑しくはありませんか?

(私は、トルコ戦のもう一つの若しは、高原選手が「エコノミー症候群」に感染しなかったらの若しだと思います。

西沢選手の代わりに高原選手がゴールを決めていたかもしれません。)

 

 そして、驚いた事には、27日にテレビ朝日が放映した(膝の手術後のリハビリ中の)トルシエ氏のインタビュー番組中(私は外出先での店頭で、中村選手へのコメントが終了する部分から見たのでハッキリはわかりませんが)誰もが驚いた先発メンバーの変更の理由を、確かに、メンバーの士気も落ちていたことも有ったから何か手を打たなければならなかったことと共に、格上のトルコへの撹乱戦法でもあったと語っていました。

 そして、今でも後悔しているのは、後半に、三都主を下げてしまったことであり、柳沢、鈴木(?)のFWで、その下を三都主、小野、中田、稲本、ボランチを戸田、そして3バック(誰だか忘れました)の陣を引くべきだったし、今自分が監督ならばこの布陣で戦いたいと語っていました。

選手などへの非難はせず、トルコ戦の敗因には、自分の決断ミスを認めていました。

 

 何故マスコミは、決勝リーグまで日本チームを引き上げたトルシエ氏に感謝せずに、彼の作戦ミスでトルコに負けたと非難するのでしょうか?

マスコミがこぞって賞賛するヒデインク監督が率いる韓国チームもトルコに負けているのですよ。

何故、韓国がヒデインク監督を賞賛し感謝したように、日本はトルシエ監督を賞賛し感謝しないのですか?

(そして、チケットの販売にまつわる不手際の追求も、忘れてしまったようです。)

 

 日本のマスコミの方々は、物事を分析する能力に欠けているだけではなく、他人に感謝する心にも掛けているのではありませんか?

心が無ければ敢然と自分一人だけであっても巨悪に立ち向かう勇気は湧いてこない筈です。

そして、「赤信号みんなで渡れば怖くない」と言って、全マスコミが挙って同じ人を非難する事になってしまうのでしょう。

 

 先述のBSフジのテリー伊藤氏によるロングインタビューは素敵な番組です。

アフガンなど危険地域へも飛び回る報道カメラマンの宮島茂樹氏が出席した際、宮島氏は「キャスターは高給を貰っているのだから、彼らの仕事に命を打ち込むべき」旨を語っていました。

(その例として、“ニュース・ステーションの所沢のダイオキシン誤報道”の久米宏氏を非難しておられました。

しかし、私は、このダイオキシン問題での宮島見解には反対です、所沢事件で問題なのは、テレビ朝日の問題以上に、各方面からダイオキシンの汚染状況を公表せよと言われ続けても、テレ朝騒動にいたるまでに、所沢の汚染状況を公表しなかった当局こそに重大な責任があると存じております。

そして、この点を追求しないマスコミにも問題があります。)

私は、キャスターは、宮島氏の見解の一部に賛成です。

マスコミも、政治家も「国民は利口である」と国民を適当に持ち上げたりしますが、そんなに国民は利口ではありません。

最近では、日本人全員バブルに踊りましたし、その前は我が子を日の丸を振って送り出したことを忘れてはいないでしょう。

ですから、キャスターはその無知な国民が政治家達に騙されないように、ニュースを読んだり、有態に解説するのでなく、ニュースにキャスター独自の見解、命を吹き込み、国民を説得すべきと思っています。

 

 そして、同じ番組で、トルシエ監督での通訳を努められたダバディーさんは「日本人は、今もって、自分のことをトルシエ監督の通訳」としての肩書き(レッテル)でしか自分を見ようとしない。他人に対してレッテルを貼った時点でもう思考が停止していることを日本人は何故理解できないのか!」と憤慨されておりました。

このダバディーさんの憤慨の好例が、博士号もなんら肩書きの無い田中耕一氏が日本では認められずに、世界の舞台で認められノーベル賞を授けられた事実です。

 

 このように、知能も心も無い日本のマスコミが、何故、「田中康夫知事は彼の政策はともかく彼の人格が許せない」などと書き立てたりする理由が判らないのです。

(悲しいことに私達は、「他人を測るのに自分の物差しでしか出来ない事実」が存在するのですから)


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